あめとなり in 個性について考える2025
会期：2025年2月20日（木）～2月23日（日）
会場：Gallery IYN
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幼い日から絵を描くことが日常の一部になっていた あめとなり は、独自のキャラクターイラストも描いていたが、高校に上がってからは同人イベントにも参加する機会もあり、より二次創作に力を入れるようになったそう。
イラスト学科に在籍していた専門学校生時代は、オリジナル創作と二次創作を両立していたが、卒業後は再び後者に専念。
自身だけの世界観を掘り下げるようになったのは、結婚を機に仕事も住む土地も変わったことから、創作においても新しい気持ちでスタートを切りたいという思いからだったのかもしれない。
作風も徐々に変化した。
かつてはキャラクターを描くことだけが創作の目的だったが、今はむしろキャラクターが身を置く空間、情景そのものが主役だ。
画面の中にたくさんのヒントをさりげなく散りばめることで、背景にある物語を鑑賞者が想像して楽しむことが出来るような・・・そんなイラストを目指しているという。
Q1.あなたの作風において、個性的だとご自身が感じておられる点、または鑑賞者の方から個性的と評価される点について教えて下さい。
あめとなり：世界観が素敵だと褒めていただけることが多いので、そこが1番の個性かなと思っています。
あとはくすんだ色や優しい色が好きでよく使うため、そういった色使いが個性的だと思っています。
あめとなり がオリジナルキャラクターを描くにあたって、現在大切にしていることは、彼女たちの“自然体”の姿を捉えること。
彼女等は鑑賞者の視線を意識しておらず、だからこそ鑑賞者に向けて視線を投げかけることもない。
そうしたスタイルは、キャラクター単体を描くのではなく、その場の情景を表現するという創作スタンスになってから、徐々に定まっていったらしい。
使用する画材にも変化があった。
かつて愛用していたコピックマーカーはインクが乾いてしまっていたことから、長期保存ができる点を重視してアクリル絵の具を導入。
混色してたくさんの色を生み出すことが出来るため、彼女の持ち味である落ち着いた色調の中にも、更にカラーバリエーションが増えたようである。
アクリル画が一番多いが、必要に応じてコピックを用いたりデジタル画で表現してみたりと、作品の雰囲気を重視して手法を使い分けも行っているという。
Q2.これまで、どんなアーティストを目指して創作をして来られましたか。また、表現者として今後叶えたい夢や、近づきたい理想像について教えて下さい。
あめとなり：前までは二次創作など、他の方からの評価を気にしたり、求められているものを制作していました。
ですが、AIイラストなど技術の進歩や、ライフステージの兼ね合いもあり
今は好きに描いています。
夢というほどの目標はありませんが、自分の生活の糧に絵を描いていきたいと思っています。
AI技術を駆使すれば、誰しもが手軽にイラストを制作できるようになり、その発展に対しての受容や評価は様々だが、あめとなり にとっては「それならAIには描けないもの、自分にしか描けない、自分だけが望むものを描けば良い」と吹っ切る切っ掛けになったようだ。
他者の評価を気にしなくなり、彼女はただ純粋に、描画を楽しむための創作が出来るようになったという。
時には、作品を仕上げてもＳＮＳへの投稿を忘れてしまうこともあるらしい。
最早“完成させて人に見せる事”を目的とはしていないが、しかし自身の作品を見てくれる人の存在はありがたいと彼女は語る。
展覧会で作品に目を止めてくれた人が、「貴女の描く世界観が好きです」とメッセージを送ってくれたことは、とても大切な思い出として、心の中に残っているのだそう。
決してクリエイターとして気負うのではなく、ただ絵を描くことで心を満たしていきたい・・・
そんな彼女が敢えて今後の目標を掲げるとしたら、それは“長く絵を描き続けること”。
心地よく絵と向き合えるように、生活スタイルや環境を快適に整え、維持することもまた目標達成のためのステップであると言えるかもしれない。
取材の最後に、こんな質問を投げかけてみた。
Q3.生まれ育った土地柄や環境があなたに与えている影響と、いま故郷について感じていることを教えて下さい。
あめとなり：山や海など、自然に囲まれた環境で育ってきました。
あまり経済的にも余裕が無い家庭だったため、お金のかからない絵ばっかり描いていて、その影響で今も絵を描いています。
今現在、生まれ育った故郷はどんどん人口が減っていて、母校も廃校になると聞きました。
私は故郷を出た身なので、文句を言う資格は無いのですが、寂しいな〜と思っています。
（取材/執筆：大石）
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《 あめとなり プロフィール 》
デザイン系の専門学校卒業後、製造業のデザイン部署へ就職。
現在は結婚を機に引っ越し・転職をし
イラストやデザインは趣味程度に、ゆる〜く活動をしています。
『何回見ても新たな発見がある作品』を目標に物語性のあるイラストを中心に作成しています。