koT in 個性について考える2024
会期:2024年12月12日(木)~12月15日(日)
会場:Gallery IYN
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koTがイラスト制作に興味を持つ切っ掛けとなったのは、中学3年生の時の社会科の授業だった。
生徒たちで架空の会社作りを体験するという取り組みで、商品開発にあたってパッケージデザインを担当することになり、絵を描くことの楽しさを知ったのだそう。
その後、好きなアニメ番組のキャラクターを描いてい見たり、一次創作も手がけるようになり、専門学校ではイラストを専攻して更に創作のスキルを磨いたのだった。
長年イラストと向き合う中で、彼は絵を“描く”という行為以上に、その画中の世界観を“設定”することに心惹かれているのだと気が付いた。
それは、趣味である映画鑑賞からの影響が大きいのかもしれない。
ジャンルを問わず様々な映画を楽しんでおり、特に好がくきな監督はC・ノーランだが、スタンスとして目標にしているのはS・スピルバーグ。子供も楽しめる映画から大人向けの超大作まで、手がける作品の幅の広さに憧れているのだそう。
自分も、作品毎に、様々な味わい、趣を演出したい。
その信条から、koTの画風もコンセプトに併せて七変化する。
コミック調の作品もあれば、小説や雑誌の挿絵のようなテイストまで、その作品に最も相応しい表現を常に模索しながら、作風の幅を広げ続けているという。
「本当に同じ人が描いているの?!」と驚かれる程に変幻自在。それも一つの個性であるかもしれない。
Q1.あなたの作風において、個性的だとご自身が感じておられる点、または鑑賞者の方から個性的と評価される点について教えて下さい。
koT:自分では意識していませんでしたが、
“色使いや構図が特徴的だね”という意見をいただいたことがあります。
作品毎にテイストは変わるが、koTが創作にあたって一貫していることがある。
専門学校時代、教員の「多くの者を見て視野を広げなさい」という言葉を受けて美術館にしばしば足を運ぶ内に、画面の中のちょっとした描き込み、意外なモチーフなどを見つけることが面白いと感じたそうで、自らもそうした画面作りを心掛けているそうだ。
描かれた生物のデフォルメした造形や、キャラクターの服の模様など、隅々まで楽しんで貰えたらとkoTは語る。
作品の中にこっそり映画のオマージュを取り入れてみたいとも考えているという。
作品のアイディアが閃いた時、画中のモチーフが描き慣れないものであったり、漠然と思い浮かんだ絵の雰囲気の手本となるアーティストが見当たらず、描き方をゼロから探し求めたり・・・制作時には何かと苦労も多い。
時には到着地が意図していたものとは全く異なる場合もあり、それはそれで面白いが、自分のイメージしていたビジュアルに近い仕上がりになった際の爽快さは格別であるのだそうだ。
専門学校を卒業はデジタル画に専念しているが、如何にして学生時代に学んだアナログ画材ならではの温もりをデジタル作品にも与えられるだろうかと、彼は常に考えている。
生成AIで絵を作ることも可能になった今日、それがどれだけ普及されようとも結局人は人の血の通った温もりに親近感を覚え、愛着を抱くと思うので、そこを自らのデジタル描画で追及したいのだ、と。
「AIについては、アーティストからは否定的な意見も多く上がっていますが、作り手にとって大切なものは何かと気づかせてもくれますし、技術の発展に私は期待しています」とも話してくれた。
Q2.これまで、どんなアーティストを目指して創作をして来られましたか。また、表現者として今後叶えたい夢や、近づきたい理想像について教えて下さい。
koT:“描いていて楽しい”、
“作品として見ても楽しい、面白い”ものを作るということは常に念頭に置いて作品作りをしてきました。
理想像としては、“自分らしくある”ということは常に大事にしています。
koTの頭の中ではいつでも次に描く作品世界についてのアイディアがぐるぐると巡っていて、隙間時間を見つけては忘れまいとメモを残しているのだそう。
「この発想は良いかも!」と思えた時の高揚感は、仕事をしている間のモチベーションにも繋がり、創作が毎日の原動力になっているとも言えるかもしれない。
作品発表を続けて来た中での思い出について訊いてみると、かつて級友と開催したグループ展で作品を購入してくれた人の、気に入った絵を見つけられたことを喜ぶ様子が強く印象に残っているという。
そうした体験もまた、彼の創作活動の支えになっている。
イラストの勉強を始める前はゲーム創作の道も視野に入れていたそうで、今後はイラストだけでなくゲームにもできるような、より込み入った世界観・設定作りもに取り組んでみたいとの事。
彼に、次のような質問を投げかけてみた。
Q3.生まれ育った土地柄や環境があなたに与えている影響と、いま故郷について感じていることを教えて下さい。
koT:土地柄や育った環境から何か影響を受けたと感じたことが具体的にはないのですが、
故郷については(小さなことですが)、
安全性の面から子供時代に遊んでいた公園から遊具がなくなっていくのが寂しいです。
(取材/執筆:大石)
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