OrCa in GIFT2025
会期:2025年3月6日(木)~3月9日(日)
会場:Gallery IYN
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ミリペンや丸ペンを用いて繊細に引かれた輪郭と、透明水彩絵の具で塗られた儚げでありながら同時に華やかさも感じられる美しい色彩・・・描かれた人物から感じられる妖艶な雰囲気は、幼少期からファンタジーの世界に憧れていたというOrCaならではの感性から生み出されるのだろう。
妖精や天使をはじめとした、姿かたちは人のようでありながらも人ならざる魅力を秘めたモチーフを彼女は好んでおり、非現実的なエッセンスを自由に取り入れて形にできることが、自身にとってイラスト制作の醍醐味であると彼女は語る。
社会人になってからは創作から離れてしまった時期もあったが、その期間も含め、様々な人との出会いから学び取ったこと、感じとったことは後に作風確立のための助力となった。
それは即ち、自身を美しく飾り立てている人ほどその内側は弱々しく繊細であるということ。
繊細であるが故にいくつもの鎧を身にまとっているが、それらは外敵から自身を守る盾になると同時に自らを蝕む恐れのある両刃の剣であるということ・・・
OrCaはイラスト作品で描き出さんとしているのは、絢爛たる美の裏側をも見据えた上での、その本質である。
Q. 創作コンセプトや創作活動を始めたきっかけや経緯を教えてください。
OrCa:3歳の頃家にあった動物図鑑を見ながらシャチを描いて、
母に見せたのが絵を描く楽しさを知ったきっかけです。
以降ずっと趣味として絵を描いてきました。
高校生の頃進路を考えた時に絵を学びたいと思い、地元の専門学校に進学し仲間たちからの刺激を受け作品を作っていました。
その後一般企業に就職した際に自分が描きたいものがわからなくなり、
過去の作品や画材などもすべて処分して絵を描くこと自体をやめていました。
しかし、現在一緒に生活しているパートナー(プロのイラストレーター)に背中を押してもらったことでもう一度絵を描き始めました。
ちなみに本格的に制作を再開したのはほんの1年半ほど前なので、
もはや初心者と言っても過言ではないかなと思っています。
▼創作コンセプト
「きらびやかなものほど毒に塗れている」です。
きらきらしたもの、過度な装飾、濃い化粧。
世間一般的にうつくしいと言われるものはその内面に他者に対する嫉妬や恐怖を孕んでいるんじゃないかと思っています。
そしてそれらを全て取り払ったあとに残るのは自己に対する劣等感。
私自身がそれらを抱えて生きているようなものなので、それを吐き出したい。
また、誰かが同じ気持ちなのであればその気持ちを抱えているのはあなた1人じゃないよ、ということを伝えたいです。
まだまだうまく形にできていませんが、今後もっとうまく表現できればと思っています。

以前は、流行りの画風や色調、それから世間から求められるであろうテーマと自らの世界観のギャップに悩む点もあったというOrCaだが、彼女に絵筆を再び持たせてくれたパートナーは、己の心のままに絵を描いて良いのだということも教えてくれた。
描きたいものを、自分が使いたい色で、やりたいように・・・
「自分の作品なのだから、自由にやって良い」と思えるようになったのは、一重にパートナーのおかげであり、感謝の思いはとても言葉では語り尽くせない。
彼女は今、これまでの人生の中で一番絵を描くことを楽しめているのだそう。
平日は就寝前に2時間程、休日は体力の許す限り殆どの時間を制作に打ち込んでおり、余計なことを考えずにひたすら描画に没入することが何よりのストレス発散方法であり、リフレッシュ方法でもあるらしい。
思い返してみれば、元来自身の感情を言葉にすることが苦手な質であるらしく、絵で形にすることで、いつも何とか思いを吐き出すことが出来ていたという。
怒りや悲しみの感情を言葉にすること、口にすることは望まない・・・しかし、胸の内に留めるだけでは息苦しくなってしまう。
「だからこそ、自分には絵という表現手段があって本当に良かったなと思っています」 そうOrCaは話してくれた。
Q.あなたの作品で、鑑賞者にどんな気持ちをGIFTしたいですか。また展示に向けての意気込みも教えてください。
OrCa:美しいものは素晴らしい。自分や何かを飾り立てることで気分が上がって幸せになれる。
もちろんその通り。
でもその中には指先ほどのちょっとの仄暗い感情があるはず。
それから目を背けたり、隠したりする必要はないと気付いてほしいです。
そして、ここからは絵を描くことにちょっぴり疲れている人に伝えたいことなんですが、
何ヶ月、何年ブランクがあってもほんの一瞬の出会いでいろんなものが吹っ切れて筆を持てるようになります。
描くことや人の作品を見ることを楽しめるようになれることを祈っています。

創作を再開したOrCaがSNSへ投稿した作品を、ギャラリーIYNのスタッフが目に止め、彼女に連絡をとったことが切っ掛けとなり、彼女の活動の範囲はより広がった。
その時に生まれた縁が昨年の「きゃわいい共和国」、今年の3月に参加する「GIFT2025」や、5月の「童話展」と同時開催のPROMISING ARTIST展示へと繋がっている。
「忖度抜きに、あの瞬間がなければここまで精力的に制作活動をすることはなかったと思います」 そう彼女は話してくれた。
イラストの制作だけでなく、動画の作成にも着手するようになったが、それも以前では考えられなかったこと。
現在は多忙のため動画投稿は休止しているが、今年中の再開を検討しているそうだ。
その他、たくさん絵を描いて画集にまとめ、同人誌として世に送り出したいと考えてもいるという。
但し、あまり目標を明確にし過ぎてしまうと焦ってしまう性分であるとのことから、気負い過ぎることなく、ゆっくり前進できればとのこと。
取材の最後に、彼女に敢えて次のような質問を投げかけてみた。
Q現代社会に欠落していると感じる事や、自分自身の体験等から欠落していると感じる事を聞かせて下さい。
OrCa:主観で生きている人が多すぎるかな、と思うことはあります。
SNSや日常での会話でもそうですが、相手の目線になって一瞬考える余裕がないんじゃないかなと。
情報があまりにも速く飛び交っている世界なので仕方ないと思ってしまう反面、
そのスピードのせいで傷つけあっているような気がします。
言葉を口に出す前に、「これ、相手の人にどう伝わるかな」と考えることって大事なんじゃないでしょうか。
(取材/執筆:大石)
OrCaの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
GIFT2025を、どうかお見逃しなく!
OrCaのSNSも、是非ご覧ください。
instagram: @orcakum
X(twitter): @OrCa_il
いいねやフォロー、ご感想メッセージ大歓迎です。

《 OrCa プロフィール 》
幼少期より絵を描くことが趣味だった為、デザイン系専門学校へと進学。
2011年3月、日本デザイナー学院九州校を卒業。
以降、一般企業への就職等諸事情により数年間制作活動を休止していた。
2024年、「きゃわいい共和国」への参加をきっかけに本格的に活動を再開。
今後も色々な企画展に参加できればと思っています。
私の作品を気に入っていただけると嬉しいです。