ゆま in GIFT2024
会期:2024年3月21日(木)~3月24日(日)
会場:Gallery IYN
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繊細な線で丹精に描き込まれた、物憂げな瞳の少女たち。
ゆま の描き出す淡く儚いコミックイラストには、切なさを感じる程に透明な空気感が漂っている。
悲しみ、苦しみ。助けを求める心の叫び。
また、時には怒り・・・
それらは、日常生活においてはなかなか表に出し辛いもの。
言葉にすることで相手の心を傷つけたり、関係を壊してしまう恐れがあるために、押し殺してしまい勝ちな感情だ。
しかし ただ抑えるだけでは、心の器はいつか溢れてかえってしまうだろう。
遣り場のない、口に出せぬ思いを画中人物に託して描かれた ゆま のイラストレーションは、まさに彼女の心そのものである。
思いやりや、気遣いから胸に秘められた感情ゆえだろうか、ゆまの心の結晶たちは いずれも美しい気品を纏っている。
Q. 創作コンセプトや創作活動を始めたきっかけや経緯を教えてください。
ゆま:幼い頃から当たり前に絵を描いていました。どうしてそんなに絵ばかり描く様になったかは覚えていませんが、単純に"上手だね"と褒められるのが嬉しかったんだと思います。。
小学生時分の ゆま の一番のお気に入りの漫画作品は冨樫義博の「幽☆遊☆白書」。
単行本を買うためのお小遣いが貯まるまで、アニメ放送を見ては鉛筆を走らせて、好きな場面を再現することを楽しんでいたという。
また、時には自分の趣味嗜好も交え、オリジナリティを加えることも。
念願の本を手に入れてからは、冨樫氏のタッチを模倣しながら、彼女は独自に描画技法を習得していったのだった。
また、少女漫画にも強く心惹かれ、特有の華麗さ、美しい扉絵や見開きページの数々に魅了されたという。
長年 ゆま が愛し続けて来た“漫画”の世界は、モノクロームだからこそ表現し得る魅力がある。
最近ではフルカラーの漫画作品もしばしば見られるようになったが、単色で生み出される空気感、趣とは自ずと異なる。
彼女 の描く単色のイラスト作品たちには、余白にも数多の思いを乗せることのできる漫画表現への憧れと愛着が込められているのである。
人物を描く際に特に力を注いでいるのは髪、瞳、まつ毛、唇と指先の描写。
いずれも人体の中で好きな部位であり、出来うる限り美しく描きたいと、慎重にペンを運んでいるのだそう。
Q.あなたの作品で、鑑賞者にどんな気持ちをGIFTしたいですか。また展示に向けての意気込みも教えてください。
ゆま:私が素敵な作品に出会った時の様に、胸の奥が跳ねる様な、きゅっと切なくなる様な、そんな何かを私の絵にも感じてくれたら嬉しいです。
内向的で、思慮深いからこそであろうか。
ゆま は自己肯定感が低い質であるという。
けれど絵を描くことによってのみ、己を認めることができる。
彼女にとって創作は、自分を肯定する唯一の手段なのだ。
仕事と家事に追われながら描き続けることは、決して容易なことではないだろう。
「もう描ける時に描くしかないです」と彼女は肩をすくめる。
描く際は、一筋一筋に魅力が宿るようにと、線の引き方には何よりも気を配っているのだそう。
彼女の作品の完成度の高さは、限られた時間の中で心を一点に注ぎ込み描かれているからこそ生じ得るものなのかもしれない。
いずれはストーリー漫画も手掛けたいと考えているそうで、これからも独自の世界観に広がりを見せるであろう ゆまに、敢えて社会や自分には足りないと感じているものについて聞いてみた。
Q.現代社会に欠落していると感じる事や、自分自身の体験等から欠落していると感じる事を聞かせて下さい。
ゆま:自分のその言葉が、行動が、誰かを傷付けるかも知れないと、どうして気付けないのでしょうか。優しさが欠落しているのか、想像力が欠落しているのか、他者に思慮を尽くす事も出来ない程にきっと疲れてしまっているんだと思います。他者を傷つけるという事がその人達の生きる術であったり自己防衛であったりするのならば、そんな必要のない優しい世界がその人達に広がってくれれば良いのにと思います。
(取材/執筆:大石)
ゆまの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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