Renji in GIFT2024
会期：2024年3月29日（金）～4月1日（月）
会場：Gallery IYN
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物心がついた頃から、身の回りにあるものをスケッチするのが好きで、よく描いていたのは、処分をすることが決まったドライヤーなど、これから捨てられてしまう日用品・・・
愛着のある道具との別れを惜しみ、その姿を紙の上に描き留めていた。そうRenjiは語る。
時にはデジタル画も制作するが、彼女が展覧会で主に披露するのは水彩絵具や鉛筆を用いたアナログ作品。いずれも我流で、自由に描いてきた。
思春期を迎えた頃から段々とファンタジックな空想世界を描くようになり、それから成長するに連れて段々と、幻想的な雰囲気を残しながら、自分の感情を投影するような作品作りをするようになっていった。
放課後の時間の殆どを絵に費やしていた中高生の頃に比べ、大学在学中の現在は制作の時間がめっきり減ってしまったが、Renjiにとって絵は、自分の価値観や歩んでいる人生そのものを客観視し、己と向き合うための大切な手段となっている。
Q. 創作コンセプトや創作活動を始めたきっかけや経緯を教えてください。
Renji：幼少期から絵を描くことが好きで、今も趣味で続けています。
大学生になってからRenjiは、より心の奥深いところにまで思いを巡らせるようになり、生きること、死ぬことについて考えることも多くなったという。
「救済」と題した作品では、あやとりの糸に絡められて堕ちていく蝶の姿に、死が救いにさえなる人生の苦しさを表現した。
生きることが辛いと感じて死を見つめ、また改めて生について考える。
その中で感じた様々な思いを絵に昇華することで、自分の考えが明確になっていき、己を知ることに繋がっていく。
「他者と向き合うためには、まず自分と向き合っておかなければならないと思うんです」そうRenjiは話してくれた。
自分のことをよく理解していなければ、相手の置かれている立場を理解することも、気持ちを読み取ったり想像することもできない筈。
自分の良い面と悪い面・・・正も負も受け入れてこそ、他者と良好な関係を築き、真心をもって語らうことができるだろう。
絵を描き、自分を見つめることは生きていく上で必要不可欠なこと。
これから社会人になって、どんなに制作時間が少なくなったとしても、絵筆を取り続けたいと彼女は考えている。
Q.あなたの作品で、鑑賞者にどんな気持ちをGIFTしたいですか。また展示に向けての意気込みも教えてください。
Renji：生まれてから死ぬまで、その過程にある意味や苦しみ、幸せについて、色々な考えを持っていただけたら幸いです。
描き出したら、短時間で完成まで一気に描き上げる。
それがRenjiのポリシーだ。
無論、絵具の乾燥を待つために作業時間を分割することはあるものの、制作にはなるべくまとまった時間をとるよう心掛けている。
それは、着想を得た際の感情が移ろい変わらぬ内に仕上げたいという思いから。
感情の鮮度が褪せぬ内に描かれた作品達には、その瞬間にしか生まれ得ない儚さと美しさが宿っているようだ。
RenjiがSNSに作品を投稿するようになったのは、飽く迄も記録のため。
なので、人が自分の絵をどう見るかということは然程気にしていなかったのだが、高く評価してくれる人があったり、「新作を楽しみにしています」という声を貰い、それが思いのほか嬉しかったのだとか。
自分の絵に期待してくれる人々への感謝の思いについても、彼女は話してくれた。
これから彼女は、幾度も人生の分岐点に立つことだろう。
進むべき道がわからくなってしまっても、絵を通して己をしっかりと見据えれば、答えは自ずと導き出されるに違いない。
独学で描いてきた分、基礎が不十分であると感じているそうで、時間の許す限り技術を高めるよう励み、「簡略にデフォルメしながらもモチーフの形状の核をきちんと捉えた、伝わりやすい絵を目指していきたい」とのこと。
ゆっくりと、けれどおそらく着実に歩みを進めていくであろうRenjiに、敢えて社会や自分には足りないと感じているものについて聞いてみた。
Q.現代社会に欠落していると感じる事や、自分自身の体験等から欠落していると感じる事を聞かせて下さい。
Renji：人との関わりが激減していると思います。
一人で考えることも大事なことですが、行き詰まった時、もしくは行き詰まる前に他の人の考え方や生き方に目を向けることも大事だと思いました。
（取材/執筆：大石）
Renjiの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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