南 巳一郎in GIFT2024
会期:2024年8月2日(金)~8月5日(月)
会場:Gallery IYN
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親から聞いた話では、自分が辿れる記憶よりも更に以前から、動物や鳥の図鑑の写真を模写をするなど、絵を描くことに夢中だったらしい。
そんな南 巳一郎は、小学校高学年になる頃には既存の作品を描き写すだけでは物足りなくなり、オリジナルのコミックイラストを描くようになった。
社会人になってからも、彼は我流で己の世界観を紡ぎ続けている。
たまたま職場の同僚に絵を趣味とする人があり、南は初めて「絵描き仲間」を持った。
青春時代、ずっと一人きりで絵を描いていた南にとって、この同僚との出会いは大きな転機となる。
イラストコミュニケーションサイトpixivの存在は、その同僚から教わった。
そこから南は、作品を外へ向けて発信するようになり、彼の創作活動は一気に飛躍したのである。
長らくペンや色鉛筆などアナログ手法で制作をしていた南だが、7年程前からはデジタル画に着手。
際限なく増えていく作品の保管場所問題もデジタル画への移行の理由の一つだったが、もともとアニメ塗りが好きだった彼は、それに近い表現を色鉛筆で再現することに限界を感じ始めていたのだとか。
デジタル技法は彼の望む描画に最適で、時には展覧会の即興でアナログイラストを描くこともあるが、デジタルイラストを創作活動の中心に据え、今後もその手法を極めていきたいと考えているという。
Q. 創作コンセプトや創作活動を始めたきっかけや経緯を教えてください。
南:自分が絵を描くようになった切っ掛けはありません。
物心付いた時から私は絵描きでした。
創作コンセプトは自分の頭の中に浮かぶ世界のアウトプットです。
社会に出て、初めて絵についての知己を得た南。
それ以前は、制作に黙々と打ち込みながらもどこか満たされず、“何かが足りない”と感じていたという。
いったい、それは何なのか。
その答えは、pixivに作品を発表することで彼の作品に“鑑賞者”が出来たことで見つかった。
ただ描くだけでは、それは一人遊びに過ぎない。
絵は人に見てもらうことで始めて完成するのだと、彼は悟ったのである。
描き手が様々な思いを込めて作品を生み出す様に、鑑賞者はそれぞれの感性で作品を受け止める。
自分の意図とはまったく異なる意味を作品に見出す人もあり、それがとても新鮮だったという南は、自身の絵の解釈は見る人それぞれの心に委ねているそうだ。
誰しも好き嫌いがあるので、作品に好意を持ってくれる人もあれば、苦手意識を覚える人もいるだろう。
千差万別の捉え方があるからこそ、誰の好みに合わせるでもなく、自分は自分の描きたいものを描くだけ。その信念が、彼の創作活動の核となっている。
作品投稿を始めた頃は なかなか閲覧数が伸びなかったが、継続していくことで段々とフォロワーや絵描き仲間が増えていった。
この交友・交流の中で、南は独自のスタイルを貫いているのである。
これまでの歩みを振り返り、南は次のように語る。
「ただただ趣味として、それ以上でも以下でもなく続けていた事ですが、それが今ではいくつも企画展に自分の作品が並ぶようになったのですから、人生は分からないものです」
Q.あなたの作品で、鑑賞者にどんな気持ちをGIFTしたいですか。また展示に向けての意気込みも教えてください。
南:私が描いているのは自分の頭に浮かぶ世界ですが、それはもしかしたら私が考えたと思っているだけで実際に何処かにある世界かも知れません。
そして、そう考えた方が楽しいと思うのです。
此度の展示でそれが伝われば幸いです。
作品を描く際、南はキャラクターの声に耳を傾け、その個性を存分に引き出せる情景、場面の設定を行う。
南 曰く、キャラクターを“動かす”というより“動いてもらう”のだ。
キャラクターを創造するにあたっては、南はこれまでに描いたことのない要素を取り入れてみたり、外出先で見かけた人の服装から着想を得て、そこから設定を掘り下げていく。
性格、能力、身長まで細かに決めることで、そのキャラクターに相応しいイラストレーションが自ずと生み出されるのだそう。
南は展覧会などで他のクリエイターの作品を見ていると、自分にはないアイディアの数々に驚かされるという。
多様で柔軟な発想、思想に触れ、「自分は、まだまだ型にはまった物の見方しかできていないのではないか」と思えてくるのだとか。
いかなる枠にも囚われることなく、自由な創作を目指したい・・・そう語る南巳一郎に敢えて、社会や自分には足りないと感じているものについて聞いてみた。
Q現代社会に欠落していると感じる事や、自分自身の体験等から欠落していると感じる事を聞かせて下さい。
南:創作活動をしていると興味の有無に関わらず「これこれこういうものが良い絵」「これは「いいね」やブクマがたくさんあるから良い絵」という話を聞くのですが、絵なんて個々人によって捉え方も感じ方も描き出す形も違うものだというのに、「これが正解」などあろうはずがありません。
「自分の目で見て、自分の心で感じて「良い」と思う」
当たり前なようで、案外抜け落ちがちな視点のように思うのです。
(取材/執筆:大石)
南 巳一郎の作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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《 南 巳一郎 プロフィール 》
私の描く絵は、私の頭の中の世界か、もしくは私がそう思っているだけの何処かに実在する世界か…
皆様には自由に楽しんでいただければ幸いです。