虚月はる in GIFT2024
会期:2024年10月11日(金)~10月14日(月)
会場:Gallery IYN
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壮大で神秘的なもの・・・
「死」や「終末」といった言葉を想起させる画題を好み、恐竜や鯨、巨大な生物の骨や廃墟をモチーフにイラスト作品を描き続けて来た 虚月はる。
夏の情景を描いた作品も多く、強い日差しの裏側に切なさや儚さを秘めたような、そんな独特の空気感が印象的だ。
その世界観は、幼い日から時間をかけて築き上げてきたもの。
様々な文芸作品から心惹かれる要素を吸収してきたが、中でも彼女に大きな影響を与えたのは、中高生の頃に読んだ市川拓司の小説作品「こんなにも優しい、世界の終わりかた」だ。
世界が終末を迎えるというシナリオは、一見救いがなく、絶望しかないように思われる。
しかし地球と自分自身の終焉の時を間近にして、人々が自らの胸の奥にある願いや心から愛していたものに気付き、大切なもののために命尽きる瞬間まで最善を尽くす・・・哀しくも美しい愛情が溢れる物語に、虚月は心を打たれた。
“悲劇ではあるけれども、同時にぬくもりと優しさの感じられる物語”を、自らも生み出したい。
そんな思いから彼女は、鑑賞者の想像力を掻き立てるようなストーリー性のあるイラスト作品を、主にデジタル技法で描き出している。
時には、水彩やコピック、万年筆のインクなどのアナログ画材を使用することもあり、また絵以外の表現手段も用いて、独自の物語を紡ぎ続けているという。
Q. 創作コンセプトや創作活動を始めたきっかけや経緯を教えてください。
虚月はる:物心ついた時から絵を描いたり物語を空想することが好きだったので、明確に「これが創作を始めたきっかけだ」と言えるものはないです。
ただ、幼少期からずっと読書が好きだったというのは私の創作活動に大きな影響を及ぼしていると思います。私の創作活動のコンセプトは「ストーリー性のある作品制作」、より具体的に言えば「様々な形でストーリーを表現すること」です。
一番得意なのが一枚絵なのでその形にすることが多いのですが、場合によっては立体物、漫画や小説、動画を作り、ストーリーを表現します。
私の作品制作は、世界観や登場キャラクターの生い立ちなどの裏設定を決めることから始まります。そして意味深なモチーフを散りばめたり、複数の絵によく見たら繋がりを感じさせるような要素を持たせたりして、その作品の中にあるストーリーを鑑賞者の皆様に想像していただけるようなものを作るということを心がけています。
これは「読書」が、中でも小説などの「物語」に触れることが好きだったということから来ていると思います。様々な作家さんたちが描き出した空想の世界の美しさに憧れ、私自身もなんらかの形で物語を作り上げてみたかったのです。
イラストレーションは、物語のほんの一部分しか切り取ることが出来ない。
また 立体ならばモチーフの全体像を提示できるが、絵で捉えることができるのは たった一面のみ。
その他、漫画や小説、動画などと比較しても、作品の中に組み込める情報量は非常に少ない。
画面の中でどこまでテーマを表現できるか、背景に物語を感じさせ、描かれた場所の空気感を演出できるか・・・難しいけれども遣り甲斐があると虚月は語る。
試行錯誤することもまた、楽しみのひとつであるそうだ。
お気に入りの小説や詩集、辞典など書物を開き、溢れ出る言葉の中で琴線に触れたものを掬い上げることから、虚月の創作は始まる。
または、ふと思い浮かんだことをノートに書き散らし、頭の奥底で眠っていた物語が表層に浮かび上がってくるまでジャーナリングを続けることで、作品のイメージが明確になってくるそうだ。
それらは“考える”作業でなく、言葉の海や己の内側からアイディアを“見つけ出す”感覚であるらしい。
Q.あなたの作品で、鑑賞者にどんな気持ちをGIFTしたいですか。また展示に向けての意気込みも教えてください。
虚月はる:どんな気持ちを抱いてもらっても構わないのですが、しいて言うなら、想像する自由と楽しさを与えたいです。
前述した通り、ストーリーを表現することにこだわりがあり、あえてモチーフに深い意味を持たせた表現をしたりしますので、このモチーフを使用した意味は何?この場所はこのキャラクターにとってどんな場所で、この子はどんな思いでここにいるの?別の絵と繋がりはあるのかな?など、色々考察して楽しんでいただけると嬉しいです。
もちろん、パッと見てなんとなく綺麗だなと思ってそれで終わりでも構わないです。
どれだけ小さくても、ほんの一瞬でも、見た人の感情を動かせたのなら描いた甲斐があります。
専門学校時代、虚月は卒業制作でイラストの連作を、その世界観を演出するための小道具や動画も添えて披露した。
鑑賞者から「ひとつの映画を観たようだ」という感想が寄せられ、その言葉が彼女の目指す方向性を明確にしたという。
また、敬愛する詩人・最果タヒの多彩な表現活動にも感銘を受けた。
「詩のプラネタリウム」や、詩を用いたインスタレーション、斬新なデザインのグッズ展開・・・彼女に倣い、多角的に自身の世界観も発信してたい。その為に様々な表現手段を学び、実践していきたいと、虚月は今後の活動に増々の意欲を燃やす。
しかし、仕事と創作の両立は決して容易なことではない。
くたくたに疲れ果てて帰宅をして、それから出来る作業は限られている。
休日に制作時間を確保できるよう日程管理を行うと共に、平日は「描画アプリを起動できたら上等」ぐらいの“ゆるっと”した気持ちで・・・
無理をせず、気負わずに。自身が歩み続けられるペースで、彼女は夢を追いかける。
虚月曰く、たとえマイナスな出来事が起こったとしても「これを創作に活かせないか」と気持ちを切り替えることで、乗り越えることが出来る。
禍を転じて福となす強さを手にした彼女に、敢えて社会や自分には足りないと感じているものについて聞いてみた。
Q現代社会に欠落していると感じる事や、自分自身の体験等から欠落していると感じる事を聞かせて下さい。
虚月はる:「余白」が足りないな、と感じることが多いです。
仕事で忙しくて時間がない、物価高でお金が足りない、他にも様々な種類の悩みがあって精神的にきついなど、「余白=余裕がない」ことを理由に色んなことを諦めてしまうことが私自身にも私の周りでもよく起きていました。
また、それらとは別に「余白」を嫌う傾向も社会では見られます。暇な時間を無駄と感じて四六時中忙しく動き回っている人。休むことは甘え・怠慢だと思っている人。せっかく医療が発展して人間は昔よりもずっと長く生きられるようになったのに、若い頃から何かを成さないと認められない、歳を取ってから何かに挑戦するのは周りからの理解を得られない、というような空気感に悩まされた人もいました。
アートに関することで言えば、私は作品制作に対して「意味」や「結果」を求めすぎて、制作も、作品鑑賞も、自分の中で妙にハードルの高いものにしてしまって苦しくなったことがありました。このような場合には、「余白」があること、つまり「“何も無い”という状況がある」のを恐れるのはかえって息苦しくなるのだな、と感じました。
創作のアイディアだって切羽詰まった状況よりもリラックスできる状況下での方が良いものが出てきますし、楽しく描けます。自分の好きなことを好きでい続け、やりたいことを実現していくためには「余白」が必要不可欠でしょう。なのでそれを意識した生き方をしようと模索してはおりますが、なかなか難しいですね……。
(取材/執筆:大石)
虚月はるの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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instagram: @kouduki0822
X(twitter): @kouduki_haru
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《 虚月はる プロフィール 》
ダーク・寂れた世界観、異形頭、青もしくは黒を基調としたイラストを好んで描くイラストレーター。
SNS等への作品投稿、展示への参加をメインに、好きなものを好きなように描いて活動しています。
よく見たら意味深なアイテムが置かれている、キャラクターの体が透けている、並んでいる花瓶のうちひとつだけ花が枯れているなど、仄暗いストーリーを感じさせる小さな仕掛けをするのが好きです。
是非、タイトルをヒントに絵の中に隠された裏ストーリーを想像しながら作品をお楽しみいただければと思います。