Eめる in GIFT2024
会期:2024年3月21日(木)~3月24日(日)
会場:ART STORE IYN
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幼い頃からたくさんの習い事に励んでいたEめるは、特に自身が希望して始めたダンスや和太鼓をはじめ、ピアノにバレエの発表会など、舞台の上で自己表現をする機会が多かった。
テレビから音楽が聞こえてくれば、すぐにそのリズムに合わせて踊りだす・・・そんな活発な少女であったという。
また、習い事とは別に、趣味でずっとイラストを描いていた。
絵にせよ、踊りにせよ、音楽にせよ、「自分は何かを“表現”することが好きなのだ」という気持ちは、かなり早くから芽生えていた。
中学生の後半で初めてコミック画材を用いてペン入れを経験し、高校生の頃にはiPadでデジタルイラストにも挑戦。
いつしか「自分が生きていく術は絵しかない」と感じ、専門学校に進んでからは将来を見据え、絵を仕事につなげるための方法を必死で吸収し、自身のイラストの発表活動も意欲的に行った。
現在彼女はフリーランスで活動しており、ボーカロイドのミュージックビデオ用のイラストやゲーム関連の仕事などをこなしつつ、依頼作品とは別に独自の作品の発表も続けている。
グループ展などで披露されるEめるのイラストレーションの特徴は、アナログ手法の味わいにこだわった質感と、人間の孤独な心の深淵を見据えて描き切るその姿勢。
画中に漂う悲愴さや寂寞感は普遍的なものであり、彼女の絵を前に多くの人が心を揺さぶられることだろう。
Q. 創作コンセプトや創作活動を始めたきっかけや経緯を教えてください。
Eめる:創作活動において常に根底にあるのは寂しさや孤独などの負の感情と、それを許容し愛でることです
Eめるが絵の中に置いて人間の負の感情と向き合うようになったのは専門学校に入ってからで、それまではむしろ明るい絵が多かったのだそう。
だが一人暮らしを始めて、自己の心と深く向き合う時間が増えたことで、徐々に作風に変化が現れた。
それまでは、うまく把握できなかった自身の感情・・・虚無感に襲われたり、苛立って他人にあり散らしたくなったり・・・そうした衝動はなぜ起こるのだろうかと、彼女は一人になってはじめて冷静に考え抜くことができたという。
また感情に振り回される己をはっきりと認識することで、逆に自分が斯くありたいと望む目標も明確になった。
激情をコントロールできなかった自分を過去のものとして切り離したEめるは、かつての己を客観的に見つめ、その未熟さをも受け入れながら作品に昇華しているのである。
Q.あなたの作品で、鑑賞者にどんな気持ちをGIFTしたいですか。また展示に向けての意気込みも教えてください。
Eめる:嫌いな自分、嫌な気持ち、上手くいかないこと、薄暗い曇り空。
私の作品を見た人が、そんな自分、そんな日を、こんなこともあるよなと少しだけ愛せるように、許容してすこしだけ楽になれるようになったらいいなと思います
依頼作品やSNS上のみで発表する作品はデジタルで制作しているが、展示会場で直に見てもらう作品は、アナログ画材で描くのがEめるの流儀。
ペン画作品においてはインクのノリがよいケント紙がメジャーだが、紙の凹凸を生かした味わいにしたいと、水彩用紙や画用紙を使用している。
またアクリル画で描く際には、地塗り剤に工夫を凝らしてテクスチャーのある支持体作りを心掛ける。
デジタルでは表現し得ない質感や、作品の一点物の価値に重きをおいているのだそうだ。
依頼作品においてはクライアントの希望を土台にして絵を作り上げていくが、独自の作品は全くのゼロの状態から始まる。
途中までの道筋がある程度固まっている仕事に慣れてしまうと、オリジナルの制作に手こずるようになってしまうため、仕事の日程上やむを得ない場合もあるが、偏りすぎていると感じたら可能な限り軌道修正を。
自分の世界観を表現することが絵を描く第一の目的であるので、それをを見失うことなく、これからも絵と共に生きていきたいとEめるは考えている。
展示の際には、企画テーマにあったイラスト本も用意できればと考えており、これからも様々なアイディアが膨らんでいきそうだ。
「私にとって創作活動は、生きていくための術」
そう語るEめるに、敢えて社会や自分には足りないと感じているものについて聞いてみた。
Q.現代社会に欠落していると感じる事や、自分自身の体験等から欠落していると感じる事を聞かせて下さい。
Eめる:自分に足りないと思うことは曖昧さです。特にイラストにおいては、自分の意図やイメージを正確に伝えたいが余りに説明的になってしまったり固い印象になってしまったりすることが多々あります。私の好みや目指したい先はもっとラフさを残して柔軟で写実的すぎない表現なので、試行錯誤しつつ引き算ができるように精進します。
(取材/執筆:大石)
Eめるの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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