No Name in ART INPUT 2025
会期：2025年3月13日（木）～3月16日（日）
会場：Gallery IYN
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絵は以前から描いていたが、No Nameが油絵に取り組むようになったのは社会人になってから。
メディウムを沢山含めてこってりと厚く絵の具を盛り上げたり、または薄く塗ってみることから生まれる立体感が気に入り、油彩は彼にとって自身の胸の内を吐き出すための重要な手段になった。
人間には、誰しも何かしら良くない感情や醜い部分があるものだ。
しかし、そうしたものを絵に変換してみてはどうか、昇華してみてはどうだろう・・・
そう考えて、No Nameは心の奥から沸き上がる思いを画布に塗り重ねている。
Q.これまでの創作活動の中で、あなたの一番の代表作と思われる作品を教えて下さい。
また、何故その作品をお選びになりましたか。
No Name：「自画像」です。元々自分のことが嫌いで嫌な思いで描いていました。そこでふと目にした自画像を滅茶苦茶に上書きした時は気分が良かったのでその作品が好きです。初めて描いた油絵でもあるので。
自分自身を含め、“人間”というものが嫌いであるというNo Nameは、人物以外のものを画題としたり、人物を描くにしても荒々しい筆致で塗りつぶしてみたり、骸骨の姿で描いたりするなど、人物を決して美化はしない。
それらを“人物画”と呼べば語弊があるだろう。
人物だから特別というわけではなく、彼の眼差しは一つの“物体”として人間を捉えているように思われる。
様々な“平等”をテーマにしているという彼の作品を前にした時、普段はこれといった疑問をを持つこともなく受け容れている「人間」という概念について、その本質について、改めて考えさせられる人も多いのではないだろうか。
逆に、描き手の方はどのような思いで作品と向き合っているのだろう。
No Nameに訊ねてみると、彼はネガティブな自らの感情と、外部から自身を脅かす“何か”から逃れたい一心で、絵筆を走らせているという。
「見たくないものに対して目を瞑りたくなる時のような感覚で、制作に打ち込んでいるように思います」 そんな風に話してくれた。
Q.貴方の創作の方向性を決定づけた時期や出来事、また影響を受けたアーティストや作品などがあれば教えて下さい。
No Name：人間不信になった時や気分が落ち込んだ時などに行き場のない悲しみや怒りを抑えるために絵を描いたり音楽を聴いてそこから影響を受けました。
ズジスワフ・ベクシンスキー氏の絵は好きです。あの方のように広大に絵は描けませんが…
音楽はメタルやデスコア系から影響を受けました。
人から裏切られたり、理不尽な攻撃を受けたり・・・
No Nameは学生時代の経験から人間に対して不信感を抱くようになったが、学校という空間は謂わば社会の縮図であり、大人になった今も自らが身を置く世界は依然として冷たく、不誠実で、偽善と欺瞞に満ちている。
「人間は、進化しすぎてしまったのではないでしょうか」と、彼は語る。
社会の煩わしさから逃れるためにも休日は絵に没頭しており、叶う事ならば人生の全ての時間を制作に注ぎたい・・・そう彼は考えている。
絵を描き続けていくためには、体が健康であることも重要だ。
しっかり食べて、良質な睡眠をとること。規則正しい生活は、絵を描くためのウォーキングアップであると言えるかもしれない。
No Nameに今年の抱負について訊ねてみると、「上手く生きることを目標にしたいです」との答えが返って来た。
そんな彼へ、取材の最後に次のような質問を投げかけてみた。
Q.これまで創作において、人生において、苦しい状況に陥った際にどのようにして乗り越えてこられましたか。
No Name：成す術なし。抗って駄目だったら受け入れて苦しむしかないです。
それが現実です。カナシイネ。
それでもやります。
（取材/執筆：大石）
No Nameの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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《 No Name プロフィール 》 No Nameで活動していますがこれからはオン眉次郎になります。変更した理由は何となくです。