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新菜きのこ in ART INPUT 2025


会期:2025年2月13日(木)~2月16日(日)

会場:Gallery IYN


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イラストレーション
「 来訪せし者は鬼か神か 」


学生時代の新菜きのこはゲーム創作に強い関心を持ち、美術を専攻した一番の目的はキャラクターデザインについて学ぶことだった。

当時の作品は、ゲームの世界観を意識したキャラクターイラストが主だったが、奈良へ観光に出かけた際に興福寺の阿修羅像を目にしたことから仏像に心惹かれ、そこから社寺仏閣巡りを好むようになり、自ずと作風にも影響が現れるようになる。


山奥の寺や神社へ足を運ぶと、段々と下界から隔離され、人の世ならざる不思議な気配に包まれる。

その空気感、妖しく美しい神秘の世界をイラストの中で表現したい・・・いつしか其れが彼女の創作コンセプトになり、日本で信仰される神仏だけでなく世界中の宗教へも目を向け、その魅力を少しでも多くの人に知ってほしいという思いから、制作に励んでいる。


神聖な空気を体いっぱい吸収し、また書物の力を借りて知識を増やし、作品に昇華する一連の流れは最良のストレス発散方法でもある。仕事で疲れが溜まったり悩みを抱え込んでしまった時も、神秘の世界を描くことで自らを癒し、毎日を生きる活力を得ることが出来るのだという。




Q.これまでの創作活動の中で、あなたの一番の代表作と思われる作品を教えて下さい。

また、何故その作品をお選びになりましたか。


新菜きのこ:『共生』です。

パッと見分からないように自然の中に沢山の

生き物や精霊などを詰め込んだ作品です。

実際の山も目で見えること以外に意識を向けると

沢山の気配に気づきます。

私が感じた世界を表現できた作品だからです。


イラストレーション
「 共生 」

この地球上では様々な民族が其々の信仰対象を持っており、その数は膨大だが、歴史の流れと共に忘れ去られてしまった神々もある。

人々が自分たちの存在を知らずにいることを、神様たちは寂しく感じていないだろうか・・・

そんな思いから、新菜はマイナーになってしまっている神仏をピックアップして制作に取り組むようになったそう。

例えば、古代イランで信仰されていたミトラ神。

日本では弥勒菩薩として伝わっているが、最早それは別個の存在と言って良いだろう。

弥勒菩薩は人々を救済することを常に考えているが、ミトラ神には闘いの神・・・弥勒菩薩とは正反対にも思える性質を持っていることに興味を持ち、今はミトラ神をモチーフに作品を制作しているそうだ。

完成作は ART INPUT展で披露する予定である。


神々だけでなく、歴史上の人物も興味の尽きないテーマであると、新菜は語る。

史実と伝承の中の食い違いは多く、史実として伝わるものも真実であるとは限らない。

自分の解釈も誤りであるかもしれないが、「いったいどんな人物であったのだろう」と思いを馳せることは鎮魂に繋がるだろう。

そして、例えその実体には迫れなかったとしても、ほんの一面だけでもイラストを通して発信することが出来たら・・・そう彼女は考えている。




Q.貴方の創作の方向性を決定づけた時期や出来事、また影響を受けたアーティストや作品などがあれば教えて下さい。


新菜きのこ:最初は好きなように絵を描くだけでしたが仏像や神話に興味を持ち始め神仏を自分なりに描くようになったのが始まりだと思います。

それからは絵を描きつつ、神社仏閣も巡り始め、神道や仏教などを学び、いつしか目に見えない世界も存在しているように感じられました。

また、目に見えない存在には二面性の性質があることに気づき、綺麗なだけでなく少し不気味な世界も表現したいと思うようになりました。

神仏習合であったり、土着的な神仏であったりその面白さに気づかされたのは曼荼羅や仏画、仏像です。

後は伊藤若冲や曾我蕭白からも影響を受けています。


イラストレーション
「 妙見菩薩のプラネタリウム 」

イラストを描くにあたって、新菜は構図を非常に重視している。

バランスが悪いと制作意欲が湧かないので、納得がいくまで下絵の段階で熟考しているそうだ。

また、森の中の空気や、静寂な夜の雰囲気を再現できるようにと、彩色にも力を入れる。

レイヤーを幾層も重ねて、重厚で深みのある仕上がりになるよう意識しているとのこと。


あらゆる神々の存在を人々に知ってほしいと願ってイラスト作品をSNSに投稿しているが、新菜は敢えてコメント機能はオフにしているのだとか。

現実空間での付き合い程ではないにせよ、僅かであれ交流があれば気遣いも生じ、「何か感想を送らなくては」と無理をさせてしまうことで、純粋な鑑賞ができなくなる事を防ぐためだ。

それに自分自身も、評価を気にして大切なものを見失ってしまうかもしれない。

絵を通して何かを感じとり、楽しんでさえ貰えれば、そこに言葉は必要ないのである。


取材の最後に、彼女にこんな質問を投げかけてみた。




Q.これまで創作において、人生において、苦しい状況に陥った際にどのようにして乗り越えてこられましたか。


新菜きのこ:人と比べないことです。

自分と向き合いながら答えや解決法を探します。

それでも無理なら焦らずゆっくり好きなことをします。


(取材/執筆:大石)

 

新菜きのこの作品を心ゆくまで堪能できる4日間

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