えるば in ART INPUT 2025
会期:2025年2月6日(木)~2月9日(日)
会場:Gallery IYN
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物心がつく前から兎に角絵を描くことが好きで、成長と共に好む画題も増えていき、「アレもいい!コレもいい!」と、描きたいモチーフが多様すぎて困っている程だと語る えるば。
彼女がよく描いているファンタジーの世界は、その魅力については語るべきポイントは多々あるが、中でも彼女の創作意欲を刺激する点は、人間以外の種族がたくさん存在して、体の図形から他種多様であることかもしれない。
種族によって耳の形の様々なエルフ、天使は階級によって翼の枚数や形状が異なるし、獣人もまた興味深い。
次はどんなキャラクターを描こうか?どんな姿形にしようか?
考えるだけでワクワクと心が躍るのだそう。
描画対象を真正面から捉えるのが好きだが、そうした構図だと奥行きの表現が難しいため、手前にあるものの輪郭線はインクでくっきりと、遠くにあるものは色鉛筆を使うようにしているそう。
時には、透明水彩を着彩だけでなく、線描写にうっすらと用いることも。
部分的に画材を使い分け、遠近感の演出に工夫を凝らすことで えるば は、空想の世界観に深みと広がりを与えているのである。
Q.これまでの創作活動の中で、あなたの一番の代表作と思われる作品を教えて下さい。
また、何故その作品をお選びになりましたか。
えるば:「 おいでー。 」です。小さい頃からファンタジーの設定等で登場する天使とペガサスがたまらなく大好きでした。
イラストをしっかりと描き始めたのが中学の頃。
文化祭の準備ではファンタジーの絵を描くぞ!ってなった時、天使とペガサスを描いたが、自分が想像してる以上に女の子の構図も難しくペガサスも上手に描けなくて当時は自分の思い通りにならなくて描くのを諦めました。
その当時に考えていた構図、キャラデザ全てをそのまま再現し出来上がったのがこのイラストです。まだまだ理想とは程遠いですが、現段階での成長を感じることができた1枚でした。
高校に上がってからデッサンを習い始め、えるば はなかなか上達しない自分に苛立ちを覚え、一時は心から好きだった筈の絵を投げ出そうとさえしていたそう。
そんな折、佐賀県立美術館で開催された「池田学展 The Pen —凝縮の宇宙—」に足を運び、彼女はかつてない衝撃を受ける。
息を呑む程に綺麗な線描写、繊細な影の表現に美しい着彩・・・描き込まれ、作り込まれた世界観に圧倒された。
誰しもが普段から使っているありふれたペンで、これ程までの作品を生み出すことが出来るのかという驚きと、湧き上がる憧れ・・・
自分もこんな風に美しい絵を描きたいと、えるば は再びデッサンと向き合う決心をしたのだった。
その日の感動は、彼女の「一眼見て美しい、綺麗だ・・・と、疲れた心を癒せるような優しいイラストを描きたい」というコンセプトの土台になっている。
Q.貴方の創作の方向性を決定づけた時期や出来事、また影響を受けたアーティストや作品などがあれば教えて下さい。
えるば:今から一年前ぐらいです。
それこそその前までは絵柄を大幅に変えたり、デジタルで描いたりなど試行錯誤してました。
ただ、ある時に絵柄を戻してアナログで描くとそれがまた楽しくて楽しくて私に合っているのはこの絵柄なんだと改めて感じました。
それからSNSでも沢山の方に見てもらえるようになりました。
SNSで作品を発表するようになったのは「身近な人以外にも絵を見てほしい」との思いからで、リアクションがあるかどうかということは余り気にせず投稿をしていたのだが、思いのほか反響があった。
感想を貰えれば飛び跳ねるほど嬉しく、例え「好き」の一言だけであったとしても、それは自分にとっては掛け替えのない宝物なのだと えるば は語る。
初めて参加したグループ展「花飾り展2023(Gallery IYN主催)」においては、2点の作品が来場者の手元へと嫁いで行き、これも「泣くほどに嬉しかった」とのこと。
そうした思い出の数々は胸の中で今も鮮明に輝いており、彼女に活力と勇気を与えてくれているという。
どうしても仕事の多忙さから制作に取り組める時間は少なく、心身ともに参ってしまっていることも多いが、絵を描き始めさえすれば、彼女は現実世界で背負いこんだ重荷をすべて下ろし、軽やかに空想の世界へと飛び込むことが出来る。
不思議と疲れも吹き飛び、時間の経過にも気が付かぬ程に制作に没入してしまう。
この至福のひとときは、彼女の人生においてなくてはならないものだ。
取材の最後に、彼女にこんな質問を投げかけてみた。
Q.これまで創作において、人生において、苦しい状況に陥った際にどのようにして乗り越えてこられましたか。
えるば:私はデザインの勉強をするため高校ではデザイン科に入学しました。
そこで待ってたのが地獄でした。とにかくデッサンが上達できない、色の勉強しても全く分からずクラスではどんどん置いて行かれました。
夜まで1人で残って練習しても講評の結果はボロクソ。友達もクラスの子たちもデッサンも色彩構成も上達して褒められてるのにどうして私だけ…。そう思い挫折しかけた時もありました。
ただ、やっぱり絵を描くのは好きで好きでどうしても諦めきれなくて私は1冊のノートを買いました。
そのノートにデッサンの講評で言われたことや自分のデッサンの良いところ、直すべきところ、次の目標等を事細かく書いてました。
それを続けること3ヶ月、なんとデッサンが格段に上達したのです。それからは追い上げのように画塾に行き、毎日夜まで描き続けました。
その結果、大学の受験はデッサン一本勝負で受けましたが見事に特待生を取ることができ、高校の先生からも今まで教師として生徒を見てきた中で1番上達した子だった。よく頑張ったね。と卒業式には褒めてくれました。
(取材/執筆:大石)
えるばの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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