イエ in ART INPUT 2024
会期：2024年11月28日（木）～12月1日（日）
会場：Gallery IYN
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物心がついた頃から絵を絵を描くことが好きだったというイエは、嘗ては抽象的な空想世界を専ら画題にしていたが、10歳を過ぎた頃から人物像に関心を持つようになったという。
人物イラストの面白さは、描いてる最中にその人物の性格や境遇に思いを馳せ、様々なストーリーを思い浮かべることが出来る事。
描いている途中で段々と印象が変わることもあり、「実はこの人にはこんな側面もあるのでは・・・？」と、イメージが膨らんでいくこともまた楽しいという。
10代からデジタル手法を独学で習得した彼女が、自身の画風の方向性が明確になったのはつい１年前のこと。
試行錯誤した月日はとても長かったが、迷いの中にあっても、絵に対する思いが弱まることはなかった。
他のことであればそうもいかないのだが、絵に関してだけは、例え出来栄えに満足できず技量不足を感じたとしても、イエは挫けることなく今日まで描き続けることができたのだそう。
下手でも、やめることは決してなかった。
だから今後も、何があっても自分が筆を折ることはあり得ないだろうと、彼女は語る。
Q.これまでの創作活動の中で、あなたの一番の代表作と思われる作品を教えて下さい。
また、何故その作品をお選びになりましたか。
イエ：代表作と思えるほどのものはないのですが、個人的に気に入っているのは「早朝」です。描き方を迷ってる時に出来上がったのですが、方向が見えて来た気がした作品だと思ってます。
イエにとって制作における課題は、作品の印象を左右する色調をどのように決め、どんな仕上がりにするのか、したいのかという事だった。
「早朝」では、窓辺の席でゆっくり飲み物を飲む人の姿を描いている内に「おそらくこれは早朝の一場面だろうな」と感じた事から、夜の静けさの底から朝日が昇ってくるイメージを、水色とオレンジの2色で表現することに。
そこから状況、場所、時間の雰囲気を限られた色面の組み合わせで表現するというスタンスが確立したのだそう。
しかしその一方で、現在の描画とは真逆の厚塗り技法にも挑戦したいとも考えているという。
線と面で構成する表現に必ずしもこだわっている訳ではなく、輪郭をぼかした画面作りにも関心があるそうだ。
実際に試してみて、やはり自分には合わないという可能性もある。
これまでも様々な描き方を見よう見真似で表現方法を模索し、今の手法に辿り着いた。
まずは何事も挑戦する。
その上で、作風が変わることもあれば変わらないこともあるだろう。
表現探求の道は、どこまでも果てしなく伸びている。
Q.貴方の創作の方向性を決定づけた時期や出来事、また影響を受けたアーティストや作品などがあれば教えて下さい。
イエ：時期で言えばコロナの影響が大きかったと思います。昔から読んだ物や観た物にすぐ影響を受けて描いているところがありましたが、特にこの時期映画や漫画を読む時間が多く、それを創作につなげるのが楽しいと気づいた時期でした。
コロナ禍中、日本だけでなく海外のアニメーション作品にも目を向け、世界には自分のまだ知らない表現方法がたくさんあるのだということに気付き、イエの視野は大きく広がった。
そこから得たインスピレーションも多くあるし、また読書をしても彼女の頭の中には作中の情景が鮮明に浮かび上がり、一つ一つのシーンにとても思い入れを抱くのだそう。
映画を見ても、この情景になら自分はこんな人物を配置したい、こんな場面にならこんな景色にしては面白いのではないか・・・と、自分の表現に置き換えてイメージを膨らませていくそうだ。
10代の頃には所謂“SNS疲れ”から しばらくは遠ざかったこともあったが、年齢を重ねてから再開してからは、自分以外の人の考えや価値観を知ることが出来ることを純粋に楽しめているという。
また展覧会に参加すると「同じテーマでもこの人はこんな風に解釈するのか」と、新鮮な驚きと発見がいっぱいだ。
ネットにせよ展示会場にせよ、イエは自らの作品を披露するにあたっては、制作段階で納得のいかなかったものは表に出さないと決めており、そんな選りすぐりの作品たちが一堂に会するART INPUT展の開幕が待ち遠しい限りである。
彼女に、次のような質問を投げかけてみた。
Q.これまで創作において、人生において、苦しい状況に陥った際にどのようにして乗り越えてこられましたか。
イエ：全てのものは不完全だという考えを大事にしています。
苦しい時や迷ってる時ほど描くことが増えるタイプなので、乗り越えると言うよりその不完全さを楽しむように受け入れて進むようにしてます。
（取材/執筆：大石）
イエの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
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