たまづき in ART INPUT 2024
会期：2024年11月21日（木）～11月24日（日）
会場：Gallery IYN
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光がなければ影が出来ないように、悲しみを知るからこそ喜びが感じられるように、また何ものも存在しなければ初めから無という概念すら生まれないように・・・
相反するように見える物事も、全ては表裏一体。
両面価値を有している。
心理学で言うところの“アンビバレント”を常に意識しているという たまづき は、イラストレーションを描くにあたって決して一義的な作品にならないよう心掛けているという。
「こういう見方もできる」「こうした意味も考えられる」と鑑賞者が気付き、その発見を楽しめるようにと考えているそうだ。
タイトルをつける際も、その言葉の単調な視覚的説明として絵が在るのでなく「作者はいったいどうしてこんな題を選んだのだろうか」と、思わず立ち止まって考えたくなるようなものをと意識しているのだそう。
何かを画面の中で追及することは、同時にその対象にある何かも描きだすことでもある。
それ故だろうか、メルヘンチックな可愛らしさが前面に出る作品もあれば、妖しい魅力の漂うダークファンタジー的なものもあり、たまづき の生み出す世界観そのものに両価性が見受けられる。
Q.これまでの創作活動の中で、あなたの一番の代表作と思われる作品を教えて下さい。
また、何故その作品をお選びになりましたか。
たまづき：「コーヒー」です。はじめての展示作品だったので選びました。今もこのキャラクターを大事に思っています。
コーヒーをモチーフにしたキャラクターを生み出すにあたって、たまづき はコーヒーショップに足を運び、店内の雰囲気とコーヒーを味わいながら、自分にしか描くことのできないイメージを掴むべく徹底的にテーマと向き合った。
誰もが漠然と抱くであろうイメージを用いれば、容易にアイディアが湧いてくるかもしれない。
そしてそれは、おそらく鑑賞者にとってもわかり易い作品に仕上がることだろう。
だが彼女は他のクリエイターの作品と類似することのない、独創的なキャラクターを創造したいと考えたのだった。
「コーヒー」でカップから顔を覗かせている少女をはじめ、この時に生まれたキャラクター達には思い入れが強く、また鑑賞者からも「可愛い」と好評であったので、その後も別のイラスト作品で幾たびか登場させているそうだ。
「彼女等を主役に据えて、作品のシリーズ化も目論んでいます」 今後の展望について、そう たまづき は話してくれた。
Q.貴方の創作の方向性を決定づけた時期や出来事、また影響を受けたアーティストや作品などがあれば教えて下さい。
たまづき：ゲーム内の架空のアーティスト「ゲルテナ」と、岡本太郎の油彩画作品「痛ましい腕」です。
展覧会で「痛ましい腕」を初めて見た際、静けさの中から差し迫ってくるような悲痛さに、たまづき は大きな衝撃を受けたという。
「芸術は爆発だ」という言葉を体現したような、エネルギッシュな作風しかイメージになかったので、「痛ましい腕」のような作品は意外であったし、同時に「絵でここまで他人を揺さぶることができるのか」と感動したのだった。この時、絵は綺麗であるか否か、上手いか下手かという次元でなく、如何に鑑賞者の心の訴えかけるものであるのかが重要なのだと理解することができたと彼女は語る。
また、自分自身もそうした作品を生み出したいと強く感じたのだそう。
「Iｂ」は美術館を舞台にした謎解き型のホラーアドベンチャーゲームで、作中内にはワイズ・ゲルテナという架空のアーティストの絵画作品が複数登場する。
不可思議で、シュルレアリスム的な趣のその作品は、ドット絵ながらも絵画としてしっかりと創り上げられており、この非常に手の込んだゲーム演出にも たまづき は感銘を受けた。
閃いた作品のアイディアを的確に表現できるようにと、デジタルイラストだけでなく顔彩に油彩、水彩色鉛筆等々あらゆる画材に挑戦してきた彼女は、今後はシュルレアリスム絵画に見られるような不条理で不可思議な世界観も作品に取り込みたいと考えており、その作風の幅は増々広がっていきそうだ。
彼女に、次のような質問を投げかけてみた。
Q.これまで創作において、人生において、苦しい状況に陥った際にどのようにして乗り越えてこられましたか。
たまづき：徹底的に自己問答します。
（取材/執筆：大石）
たまづきの作品を心ゆくまで堪能できる4日間
ART INPUTを、どうかお見逃しなく！
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Instagram:＠tamadzuki
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《 たまづき プロフィール 》
展示実績、依頼の納品実績多数。
象徴主義をベースに、現代のイラストと融合させた表現を模索しています。
心の中を叩きつけるような作風が主体ですが、ふんわりとした優しい世界もまた創作しています。
一方で、漫画、ギャグ路線、和風テイストと技法を問わず描いています。